ヌワラエリア・ディンブラ・キャンディ・ルフナ・ウダプヤラワ|スリランカ紅茶

ヌワラエリア・ディンブラ・キャンディ・ルフナ・ウダプヤラワ|スリランカ紅茶

ヌワラエリア・ディンブラ・キャンディ・ルフナ・ウダプヤラワ|スリランカ紅茶

紅茶を少しかじったことのある方なら1度は耳にしたことのある「セイロン紅茶」。
セイロン紅茶の「セイロン」とは、かつて「セイロン」という名の国であったインド半島の南東部に浮かぶ島「スリランカ」のことです。
スリランカは、16世紀にポルトガルやオランダの進出を経て、1802年以来長きに渡りイギリス直轄の植民地だったのですが、1948年にイギリス連邦内から自治領として独立を果たし、1972年に国名を「スリランカ」へと改称し、共和国となりました。
しかし、現在でもスリランカを占める主たる島々のことを「セイロン島」と呼んでいるため、スリランカで生産されている紅茶のことを「セイロン紅茶」と呼んでいるそうです。

スポンサーリンク

セイロン紅茶の歴史

セイロン紅茶の起源は、1839年にカルカッタ植物園のアッサム野生種がキャンディのベラデニア植物園に移されたのが始まりだと言われています。

 

その後、ベラデニア植物園に移されたこの苗をヌワラエリアに試作したり、オームスが中国から持ち帰った中国種のチャノキをブッセラワへ植えるなど、スリランカ各地でチャノキの栽培が行われ、1865年には『セイロン茶業の父』と称されるジェームス・テイラー氏がベラデニアからアッサム種の種子を集め、1866年にルーレコンデラに蒔いて茶園を作ったとされています。

 

こうして相前後にして同一地域に植えられた品種の異なるチャノキたちは、自然交配をお越し、その土地に適した特性を持った新たな雑種が誕生し、増殖していったのです。

 

 

今ではスリランカ国内に世界三大銘茶のひとつに数えられているウバをはじめ、ヌワラエリア、ディンブラ、キャンディ、ルフナ、ウダプヤラワなど様々な紅茶の産地が存在し、世界でも有数の紅茶大国として世界にその名を轟かせています。

 

では、スリランカ国内で生産されているヌワラエリア、ディンブラ、キャンディ、ルフナ、ウダプヤラワ5つの紅茶のうち代表的な2種類について産地や特徴、オススメの入れ方についてご紹介します。

スリランカ国内で生産されている代表的な2の紅茶の産地と特徴、オススメの入れ方

ヌワラエリア

スリランカで最も高い標高2000m以上の卵型をした台地、ヌワラエリア行政区を産地とする紅茶「ヌワラエリア」は、世界三大銘茶のひとつであるウバとは反対側に位置する地域で生産されています。

 

紅茶の名前となっているヌワラエリアとは、日本語で「台地の上の街」という意味であり、19世紀の初めにアルバート湖が発見されたことで、この地域の概要が明らかとなり、イギリス人のサミュエル・ベイカー氏によって開発が進められ、イギリスからやってきた開拓移民たちが余暇を過ごすためのリゾート地「リトル・イングランド」として多くの人で賑わっていたそうです。

 

現在でも当時イギリスからやってきた開拓移民たちが利用していた建物や施設が残っており、スリランカの観光名所の1つとなっています。

 

この地で紅茶の栽培が始まったのは、ベラデニア植物園から実験的にチャノキの苗が移植された1840年から1842年にかけてだと言われています。

 

 

その後、1880年代には茶葉の製造機械の開発や設置が促され、1884年にセントラル・ティーエステート (現ペドロ)で機械化された製茶工場が誕生し、スリランカを代表する紅茶の名産地となりました。

 

ちなみに、セントラル・ティーエステートは現在も現役で稼働しているそうですよ。

 

ヌワラエリア紅茶は、日中と夜間の温度差が大きく、乾いた風が吹き込む標高2000m以上の地域で生産されているため、たぐいまれなる香りと味わいを持っています。
また、山岳の山頂付近でチャノキの育成を行っているため、南西、北東モンスーンの影響を受けやすく、ウバやディンブラとは若干クオリティーシーズンがズレますが、1年に2回、1月から2月と6月から7月にクオリティーシーズンを迎えます。

 

ヌワラエリア紅茶の産地であるヌワラエリア地区は、寒冷な地域であるため、茶葉の発酵が他の地域よりも遅いので、ローターペインを用いて紅茶を製造する場合とオーソドックス製法を利用して行う場合などがあるそうです。

 

ヌワラエリア紅茶は、日本茶を彷彿させる清々しく爽やかな渋味とコクを持った味わいとグリーン・ノートと上品な花香の優しい香りが特徴的な紅茶であり、やや淡いオレンジ色の水色をしています。

 

特にクオリティーシーズン期のヌワラエリア紅茶は優良茶葉に仕上げるために発酵を浅めにしたり、グレードもOPやBOPタイプにしています。

 

香りと味のバランスがほどよいので、ストレートティーとして飲まれるのがオススメですが、ミルクティーにしても、ヌワラエリアの魅力を引き立たせることができるので、気分に合わせて紅茶の入れ方を選ぶことができるのもこの紅茶の魅力となっています。

 

 

ディンブラ

高く険しい山々が連なるスリランカ中央山岳部の西側斜面を産地とする「ディンブラ」は、ヌワラエリア行政区に属しており、標高1100mから1600mの範囲に茶園や製茶工場が点在しています。

 

この地域に連なっている山岳帯や渓谷は広範囲に渡って拓かれており、ディンブラ紅茶の産地で最も標高の高いハットンやディコヤから、ヌワラエリアの西端にあるタワラワケレとナヌオヤ、北端のマスケリア、ボガワンサワラにまで及びます。

 

ディンブラ地区は、もともとコーヒーの産地だったのですが、1869年にキャンディで発生した寄生菌によって葉が枯死してしまうサビ病によって、コーヒープランテーション全域に蔓延してしまい、1878年頃にはスリランカのほぼ全土にあるコーヒープランテーションが全滅してしまったのです。

 

サビ病が蔓延するなか、スリランカではカカオやキナの栽培にチャレンジしていたのですが、ジェームズ・テイラー氏がスリランカ国内での茶栽培の成功したことを受け、コーヒー栽培から茶栽培への転換を促したと言われています。

 

 

ちなみに、ディンブラ地区は1870年代にコーヒーの樹を引っこ抜いてチャノキを植樹した最初の地域なのだそうです。

 

ディンブラ地区は、11月から翌年2月にかけて海から湿気を運んでくる北東モンスーンが中央山脈の北東斜面にぶつかり多くの雨を降らせ、南西斜面には乾いた風をもたらします。

 

そのため、ディンブラ紅茶は1月から3月頃がクオリティシーズンとなっており、雨期となる4月から6月と10月から11月はチャノキの生育が早まるため量産期となります。
ディンブラ紅茶の主な製造方法は、セミ・オーソドックス製法となっておりますが、クオリティシーズン期は伝統的なオーソドックス製法を用いて製造されることもあります。

 

赤みを帯びた美しいオレンジ色の水色に爽快で控えめな渋味と優雅でバラのような芳醇な香りが特徴的なディンブラ紅茶は、水色、味わい、香りのバランスが絶妙であり、しかも高地産紅茶のなかで最も産出量が多く、香りと味わいは典型的なセイロン紅茶ですので、ストレートティーで頂くのが1番オススメですが、ミルクティーやアイスティーにするのも良いでしょう。
初めてディンブラを入れるという方は、量産期の茶葉よりも優れた香りと味わいを楽しむことができるクオリティシーズン期の茶葉を用いて入れた方が、ディンブラの魅力を最大限感じることができますので、この機会に是非クオリティシーズン期の茶葉で紅茶を入れてみてはいかがでしょうか。

 

スポンサーリンク

紅茶とは|紅茶の起源と伝説

2015年2月に再上陸を果たした“コーヒー界のapple”こと「ブルーボトルコーヒー」によって、現在日本国内で「サードウェーブコーヒーブーム」が巻き起こっておりますが、実はこのコーヒーブームの裏側で、じわじわと紅茶に力を注いでいるカフェや飲料メーカーが増えてきていることをご存知ですか。日本でも御馴染...

≫続きを読む

 

紅茶の歴史と起源|紅茶とは

現在、日本国内では、2015年2月に上陸を果たした「ブルーボトルコーヒー」によって、空前のサードウェーブコーヒーブームが巻き起こっているのですが、なんとこのコーヒーブームに負けじと、日本各地にあるカフェや国内外の飲料メーカーのあいだで紅茶の魅力をより多くの人々に伝えようと、本格的な紅茶を手軽に味わえ...

≫続きを読む

 

紅茶の茶葉について緑茶との違い|紅茶とは

紅茶には、ダージリン、ウバ、キーモン、キャンディ、アッサム、ヌワラエリアなど様々な種類の茶葉がありますが、これら全ての茶葉が日本茶 (緑茶)や烏龍茶の茶葉と同じツバキ科ツバキ属に属する常緑広葉低木の「チャノキ」の葉を摘み取って作られていることをご存知でしたか。チャノキとは、熱帯から暖帯のアジア圏に広...

≫続きを読む

 

紅茶と緑茶の違い|紅茶とは

紅茶も緑茶も同じチャノキから摘み取られた茶葉を原材料とするお茶なのに、なぜ香りや味わい、水色などがこうも大きく異なるのでしょうか。その理由は3つあります。

≫続きを読む

 

紅茶の製造オーソドックス製法|紅茶の作り方

世界で最も愛されている「紅茶」は、チャノキから摘み取られたばかりの葉は鮮やかな緑色をしているのに、なぜ茶葉として加工されてしまうと黒褐色をしているのかと気になったことはありませんか。紅茶の茶葉を製品として流通させるまでの工程のことを「製茶」と呼ぶのですが、紅茶の製茶方法には大きく分けて、・オーソドッ...

≫続きを読む

 

紅茶の製造CTC製法|紅茶の作り方

「紅茶は好きだけど、毎回紅茶を淹れる度にティーポットやストレーナー、キャディスプーンなどを用意したり片付けたりするのは大変」「本当は毎朝紅茶を淹れて飲みたいのだけれど、時間が無くて諦めている」という方も大勢いらっしゃるかと思います。そんなあなたにオススメなのが「CTC製法」で作られた紅茶です。CTC...

≫続きを読む

 

紅茶のグレード・等級|紅茶とは

紅茶にも、コーヒーや日本茶、お酒にお米などと同じく、「グレード」や「等級」などの区分が存在します。ただ、紅茶のグレードは、コーヒーや日本茶、お酒などとは大きく異なり、品質やクオリティなどを表すものではありません。紅茶のグレードとは、茶葉の大きさや形状を区分するための「単位」であるため、「茶葉が大きい...

≫続きを読む

 

紅茶の基本的な入れ方|紅茶の飲み方

「紅茶の入れ方に基本ってあるのかな?」「おいしい紅茶を入れたいけど、どんな道具を用意したらいいの?」など、これから紅茶の世界に飛び込もうとお考えの方にとって、おいしい紅茶の入れ方や入れる際に必要となる道具選びはとても重要な悩みとなっています。既に紅茶を入れる際に必要となる道具が揃っており、あとはおい...

≫続きを読む

 

紅茶と水の関係|おいしい紅茶の入れ方

紅茶は、日本茶 (緑茶)や烏龍茶などの茶類のなかで最も水の影響を受けやすい飲み物であるため、おいしい紅茶を淹れたいと思うあまり、水道水ではなく、ミネラルウォーターを使って淹れているという方も多いのではありませんか。実は紅茶をおいしく淹れるためには、ミネラルウォーターよりも私たちが普段使用している水道...

≫続きを読む

 

水の硬度による紅茶の違いとイギリスの紅茶事情

水の影響を受けやすいお茶として有名な「紅茶」ですが、実際にどのような違いがあるのかと気になっている方も多いのではありませんか。軟水の水で紅茶を淹れた場合、紅茶本来の香りや味わいがストレートに表現され、美しい水色とシャープな香りと味わいを楽しむことができます。特に日本の水道水はストレートティーを淹れる...

≫続きを読む

 

紅茶のおいしい入れ方|基本のストレートティー

「紅茶の入れ方に基本ってあるのかな?」「おいしい紅茶を入れたいけど、どんな道具を用意したらいいの?」など、これから紅茶の世界に飛び込もうとお考えの方にとって、おいしい紅茶の入れ方や入れる際に必要となる道具選びはとても重要な悩みとなっています。既に紅茶を入れる際に必要となる道具が揃っており、あとはおい...

≫続きを読む

 

ダージリンとは|紅茶の種類産地、特徴

世界三大紅茶のひとつに数えられている北インド原産の「ダージリン」は、紅茶愛好家でなくても1度は耳にしたことのあるとても有名な紅茶の名前です。紅茶に詳しい方ならばご存知かと思いますが、ダージリンには「ファーストフラッシュ」や「セカンドフラッシュ」など様々な種類があり、それぞれ香りや味わい、水色に大きな...

≫続きを読む

 

アッサムとは|紅茶の種類産地、特徴

紅茶本来の香りや味わい、水色を存分に楽しむことができるストレートティーも魅力的ですが、たまには濃厚な味わいが楽しめるミルクティーが飲みたいなと思ったりすることはありませんか。ですが、ダージリンのような芳醇な香りを持つ紅茶にミルクを入れてしまうと、せっかくの香りが台無しになってしまうため、入れたくても...

≫続きを読む

 

ニルギリとは|紅茶の種類産地、特徴

ダージリンやアッサムと並び、インドを代表する紅茶として知られる「ニルギリ」は、南インドにあるターミナルナドゥ州のケーララ付近の丘陵地で栽培されているチャノキの葉から作られています。同じインド国内で製造されているダージリンやアッサムは強烈な個性を持つ紅茶として有名ですが、ニルギリは主だった個性の無い紅...

≫続きを読む

 

ドアーズ・テライ・キッシムとは|インド紅茶の種類や特徴

世界最大の紅茶の産地として有名なインドでは、1年間におよそ98トンもの紅茶を生産しており、なんと紅茶の国内消費量も世界第1位と、紅茶をこよなく愛するイギリスよりもたくさん消費しています。そんなインドでは、世界三大紅茶のひとつ「ダージリン」や1823年にイギリス人のロバート・ブルース氏によって発見され...

≫続きを読む

 

ウバとは|紅茶の種類や特徴

インドのダージリン、中国のキームン、そしてスリランカのウバは、世界三大銘茶として紅茶愛好家たちのあいだではたいへん有名ですが、あまり紅茶に詳しくない方の場合、『ダージリンやキームンは飲んだことはあるけど、ウバは飲んだことが無い』という方が多く、どのような種類の紅茶なのかをご存知無い方も大勢おられます...

≫続きを読む

 

ヌワラエリア・ディンブラ・キャンディ・ルフナ・ウダプヤラワ|スリランカ紅茶

紅茶を少しかじったことのある方なら1度は耳にしたことのある「セイロン紅茶」。セイロン紅茶の「セイロン」とは、かつて「セイロン」という名の国であったインド半島の南東部に浮かぶ島「スリランカ」のことです。スリランカは、16世紀にポルトガルやオランダの進出を経て、1802年以来長きに渡りイギリス直轄の植民...

≫続きを読む

 

ケニア・マウライとは|アフリカ紅茶の種類や特徴

紅茶の産地といえば、世界三大銘茶の産地であるインド、スリランカ、中国が頭にパッと思い浮かぶ方も多いと思いますが、実は紅茶栽培に向いていなさそうなアフリカ大陸でも紅茶の栽培が行われていることをご存知ですか。アフリカ大陸で紅茶の生産が行われるようになったのは、1887年に南アフリカ連邦東部にあるナタール...

≫続きを読む

 

日本で生産されている和紅茶とは|紅茶の種類や特徴

「紅茶って渋くて苦いからどうしても苦手」「紅茶は好きだけど、好みの紅茶がなかなか見つからない」といった紅茶に関するお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。そんな悩めるあなたにお勧めしたいのが日本で生産されている「和紅茶」です。和紅茶とは、その名のとおり日本国内のお茶農家さんたちが生産している...

≫続きを読む

 

インドネシア・ネパールの紅茶|紅茶の種類や特徴

現在、全世界の紅茶生産量3/4以上を占めると言われる紅茶主要国のインド、スリランカ、中国、インドネシア、ケニアの5か国は、別名「5大紅茶生産国」と呼ばれており、紅茶に詳しくない方でも1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、現在紅茶を生産している国は、日本を含め実に20数ヶ国あり、それぞ...

≫続きを読む

 

紅茶を入れる際に最低限必要な道具とは|紅茶の入れ方

ティーポットやティーカップ、茶こしなど紅茶を入れる際に必要となる道具は、分かっているだけで10種類ほどあります。ですが、実際に紅茶を入れる際に必要となる道具を10種類全て買い揃えてみると、いくつかの道具は使わなくてもおいしく入れることができた意見も多く、使わなかった道具をどうしようかと困っている方も...

≫続きを読む

 

紅茶に必要な道具の名称と使い方|紅茶の入れ方

おいしい紅茶を入れるためには、ティーポットや茶こし、ストレーナーなど様々な道具を駆使して入れてゆきます。ですが、これから紅茶を始める方にとって、どの道具がどんな役割を果たしているのか、本当に必要な道具なのかどうかを判別するのはとても難しいことです。そこで、紅茶を入れる際に必要となる道具の名称とその使...

≫続きを読む

 

ダージリンの種類と特徴|紅茶の種類

ダージリンには、・ファーストフラッシュ・セカンドフラッシュ・モンスーンフラッシュ・オータムナルなど様々な種類があり、それぞれ香りや味わい、水色が大きく異なるため、気分に合わせて紅茶葉を選ぶことができるのが魅力となっています。

≫続きを読む

 

TOP PAGE ライター紹介 夏のお茶特集new! SITE MAP